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神戸地方裁判所 平成11年(ワ)225号 判決 1999年10月06日

反訴原告

地神秀治

反訴被告

内橋電工株式会社

ほか一名

主文

一  反訴被告らは反訴原告に対し、各自、金二四〇万五九〇〇円及びこれに対する平成一〇年六月三〇日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  反訴原告のその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用はこれを五分し、その一を反訴原告の、その余を反訴被告らの各負担とする。

四  この判決は第一項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

反訴被告らは反訴原告に対し、各自、二九四万五〇〇〇円及びこれに対する平成一〇年六月三〇日(後記事故日)から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

(以下、反訴原告を原告と、反訴被告らを被告らと、反訴被告内橋電工株式会社を被告会社と、反訴被告増田勝彦を被告増田と、訴外速見公志を速見という。)

本件は、被告増田運転の軽四輪貨物自動車が路外駐車場から後退して道路に出ようとした際、道路を直進走行中の速見運転の普通乗用自動車(BMW)に衝突した事故について、原告が被告増田に対し、民法七〇九条に基づき、被告増田の使用者である被告会社に対し、民法七一五条に基づき、それぞれ物損害の賠償を求める事案である。

一  前提事実

(全て争いのない事実である。)

1  交通事故の発生(次の事故を以下、本件事故という。)

(一) 発生日時 平成一〇年六月三〇日午後六時五五分頃

(二) 事故現場 神戸市兵庫区須佐野通一丁目二番一〇号先路上(以下、本件事故現場又は本件駐車場という。)

(三) 加害車両 被告会社所有、被告増田運転の軽四輪貨物自動車(神戸四一つ七五八〇、以下、被告車という。)

(四) 被害車両 速見運転の普通乗用自動車(神戸三〇〇さ四五九五、以下、原告車という。)

(五) 事故態様 被告増田が被告車を運転し、路外駐車場から後退して道路に出ようとした際、被告車後部左角を、事故現場の道路を直進走行中の原告車前部左角に衝突させた。

2  被告らの責任

(一) 被告増田の責任

被告増田は、路外の本件駐車場から後退して道路に出る際、後方の安全確認義務違反等の過失により、本件事故を起こしたから、民法七〇九条に基づき、原告の被った損害を賠償する義務がある。

(二) 被告会社の責任

被告増田は、被告会社の従業員であり、本件事故当時、被告会社の業務の執行中であったから、被告会社は民法七一五条に基づき、原告の被った損害を賠償する義務がある。

3  原告の損害

(一) 原告車修理費 一五七万五〇〇〇円

但し、原告の損害に当たるか否か、換言すると、原告が原告車の所有者であるか否かは後に認定するとおりである。

(二) 原告車は、ドイツ車のBMWであり、その代車費用相当額は日額一万六〇〇〇円である。

4  過失相殺の前提事実

速見は、原告の従業員であり、本件事故当時、原告の業務の執行中であった。

二  争点

1  原告は原告車の所有者であるか否か。

2  右点に関する当事者の主張の要旨。

(一) 原告

原告車は、地神直樹(以下、直樹という。)の使用名義となっているが、真実は原告が購入したもので、原告の所有である。

(二) 被告ら

原告車の所有名義は株式会社シーエフカーシステム(以下、ローン会社という。)であり、使用者は直樹であり、原告は原告車の所有者ではないから、被告らに対し、損害賠償請求権を有しない。

3  過失相殺の有無及びその程度(以下、争点2という。)。

4  右点に関する当事者の主張の要旨。

(一) 被告ら

(1) 速見は、本件事故現場前の道路をよく通っており、本件駐車場から自動車が出てくることを熟知していたのに、本件事故現場前の道路で殊更減速することはなく、時速二〇ないし三〇キロメートルの速度で漫然と走行した過失がある。

(2) そうすると、本件事故の過失割合は、被告増田が八割、速見が二割というべきである。

(3) そして、前提事実4のとおり、速見は原告の従業員であり、本件事故当時、原告の業務の執行中であったので、被害者側の過失として、原告にも速見と同様の過失相殺がなされるべきである。

(二) 原告

(1) 速見は、本件事故現場前の道路を時速二〇ないし三〇キロメートルで走行したが、これは自動車運転者の感覚としては徐行程度の速度である。

(2) 仮に、速見に若干の過失があるとしても、後進する自動車の運転者にはより高度の注意義務が課せられるべきであり、しかも被告増田はアクセルを強く踏んで道路に飛び出したのであるから、過失割合は速見に有利に修正されるべきであり、その結果、本件事故の過失割合は、被告増田が一〇割、速見が〇割というべきである。

5  原告の損害額は幾らか(以下、争点3という。)。

6  右点に関する当事者の主張の要旨

(一) 原告

(1) 原告車修理費 一五七万五〇〇〇円

前提事実3(一)のとおり、原告車修理費が一五七万五〇〇〇円であること自体は争いがない。

そして、前記のとおり、原告車は原告の所有であるから、原告が右原告車修理費の損害賠償請求権を有する。

(2) 価格落ち損又は評価損 四〇万円

価格落ち損については、中古車の市場価格の動向を重視すべきであり、原告車はドイツ車のBMWであり、いわゆる高級外車に当たるから、中古車市場で時価額の一割以上、八〇万円ないし一〇〇万円の価格落ち損が出るのが通常である(なお、原告車は、初年度登録からまだ三年しか経っておらず、板金と塗装を含む修理をしたのであるから、中古車市場で時価額の一割以上、八〇万円ないし一〇〇万円の価格落ち損が出るのが通常である。)が、原告は立証上の便宜から修理費用の二割五分相当額の四〇万円を請求する。

(3) 代車費用 七二万円

前提事実3(二)のとおり、原告車はドイツ車のBMWであり、その代車費用相当額は日額一万六〇〇〇円であること自体は争いがない。

問題は、代車を必要とする相当な期間はどの位かということであるが、事故が発生すれば修理に着手するまでの通常三日ないし七日のロス期間が生じるのは普通のことであり、しかも原告車はBMWの中でも最高級車に属するので、修理工場(岡田自動車車体整備)が取替部品を取り寄せるのに日数がかかり、本件では取り寄せ期間は二週間程度が妥当であり、また、原告は被告側保険会社担当者の承諾を得て代車のセルシオに乗っており、右担当者が修理見積りの立会をするのが鑑定事務所に依頼したりで、遅くなったのであり、原告としてはほぼ修理が終わった平成一〇年八月一四日に修理された原告車を引き上げ、代車を返しているので、同年七月一日から八月一四日まで四五日間の代車期間は相当であり、原告が故意に長引かせたのではない。

よって、代車費用は、日額一万六〇〇〇円に四五日間を乗じた七二万円が相当である。

(4) 弁護士費用 二五万円

被告らは、価格落ち損を認めず、過失相殺を主張し、代車費用も削ろうとしたため、原告は弁護士に本件訴訟の提起、遂行を委任せざるを得ず、弁護士費用相当の損害は二五万円が相当である。

(5) よって、被告らは原告に対し、以上合計二九四万五〇〇〇円の損害賠償義務がある。

(二) 被告ら

(1) 原告車修理費

原告車修理費が一五七万五〇〇〇円であることは認めるが、前記のとおり、原告は原告車の所有者ではないから、損害賠償請求権を有しない。

(2) 価格落ち損又は評価損

価格落ち損は、修理により回復できない損傷が具体的に立証された場合にのみ認められるところ、原告は単に修理費がこれだけ掛かったからこれ位の価格落ち損が発生していると主張するだけで、修理により回復できない損傷を一切立証していないので、原告の価格落ち損の請求は理由がない。

また、一般に価格落ち損は、新車に発生するものというべきところ、原告車は本件事故当時、初年度登録から約三年経過している点からも原告の請求は認められない。

(3) 代車費用

日額代車費用自体は争わないが、代車使用を要する期間を争う。

即ち、代車費用は、事故車の修理期間の分に限って認められるところ、原告は原告車を平成一〇年七月一八日に修理工場に搬入しているが、被告側の保険会社が車両の立ち会いに行った日が同月二二日であるから、実際に修理に着手したのは右同日以降であり、また、原告は同年八月一四日に一旦原告車を引き上げ、その後一両日預けて補充の修理を行っている。

したがって、原告車の実際の修理日数は、長くとも二六日間であり、それを超える分については被告らが負担すべき損害ではない。

(4) 弁護士費用

不知。

第三争点に対する判断

一  争点1関係

1  事実認定

証拠(甲二、乙一、証人地神直樹及び原告本人)並びに弁論の全趣旨によると、次の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

(一) 原告の弟の直樹は、平成一〇年六月頃、原告車を有限会社VIPより購入し、その代金のうち五五〇万円を頭金として支払い、残代金はローン会社との間で三〇〇万円のローンを組んで支払ったので、車検上は原告車の所有者はローン会社(株式会社シーエフカーシステム)となり、直樹は使用者となるに止まった。

(二) 直樹は、右のローンが支払えなかったので、兄の原告に原告車を買ってもらうことにし、平成一〇年六月二〇日頃(本件事故の一〇日程前)、原告に原告車を売り渡し、原告より右の頭金五五〇万円の支払を受け、右のローンについては原告が引き継ぐことになったが、車検上の使用者名義は直樹のままにしていた。

(三) 原告は、平成一〇年一二月末日頃、原告車を有限会社VIPに売り渡し、その売却代金四二〇万円(本件事故が一因となって、売却代金が四二〇万円と安くなった。)の中からローン会社に対して残ローンを完済した。

2  判断

以上の事実によると、原告は直樹より原告車を買い取り、現在では残ローンを完済し、本件事故が一因となって、相当の損害を受けたのであるから、現在では転売により原告車の所有権が株式会社シーエフカーシステムに移転したとしても、被告らに対する損害賠償関係では、原告をその損害賠償請求権者と扱うのが相当である。

二  争点2関係

1  事実認定

前提事実1と、証拠(甲二、九の一部、証人速見、原告本人及び被告増田本人)並びに弁論の全趣旨によると、次の事実が認められ、右認定に反する甲九(被告増田の陳述書)はそれとは反対趣旨の前掲の関係各証拠に照らしてそのままには信用できず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

(一) 本件事故態様の詳細

(1) 被告増田は、被告車を運転して本件駐車場に頭から入れ、用事を済ませた後、路外の本件駐車場から後退して道路(西から東に向けての一方通行である。)に出ようとした際、アクセルを強く踏んで後ろに発進し、道路の手前で一旦停止することなく、また、左後方(西側)の安全確認をすることなく、減速しただけで、道路の半分位まで進入したところで、本件事故が起きたが、原告車を発見したのは本件事故のほんの寸前であり、殆ど事故回避の措置をとれなかった。

なお、被告増田は、右の原告車を発見した瞬間、被告車に迫ってくる「黒い影」(原告車は濃紺であり、被告増田には黒く見えた。)と認識しただけで、本件事故を単車との事故と錯覚していた。

(2) 速見は、原告車を運転して、本件駐車場の南の道路を西から東に向けて時速二〇ないし三〇キロメートルの速度で進行していたが、路外の本件駐車場から突然被告車が後退して出てきたので、急ブレーキを掛けたが、間に合わず、本件事故が起こった。

(3) 本件事故は、被告車後部左角と原告車前部左角が衝突するものであった。

(二) 過失相殺で考慮すべき事情

(1) 本件事故当時、本件駐車場の出入口付近には自動車が数台駐車中であり、被告増田、速見とも見通しが悪い状態であった。

(2) 速見は、本件事故現場前の道路をよく通っており、本件駐車場から自動車が出てくることを熟知していたのに、本件事故現場前の道路で殊更減速することはなく、時速二〇ないし三〇キロメートルの速度で走行し続けた。

(3) 本件事故現場前の道路の幅は、三・五メートルないし四メートル程度であった。

2  判断

(一) 以上の事実によると、被告増田は、路外の本件駐車場から道路に出る際、道路の手前で一旦停止し、更に左後方(西側)の安全確認をすべき注意義務があるにもかかわらず、これを怠り、減速するだけで道路の半分位まで急に飛び出したのであるから、過失の程度は重大であるものというべきである。

なお、被告増田は、被告車を後進させたのであるから、前進させる場合に比べて、その運転は不安定になりやすく、本件では前進させる場合に比べて、西から来る自動車の発見が必然的に遅れるので、前進させる場合に比べて、右の注意義務は益々重くなるものというべきである。

(二) 一方、以上の事実によると、速見は、本件事故現場前の道路をよく通っており、本件駐車場から自動車が出てくることを熟知しており、しかも本件事故当時、本件駐車場方向の見通しが悪かったのであるから、本件駐車場から自動車が出てくることを予想し、万一の場合に備えて、いつでも停止できる程度の速度(経験則上時速一〇キロメートル程度と考える。)に減速して走行、即ち、徐行すべき注意義務があるのに、これを怠り、漫然と時速二〇ないし三〇キロメートルの速度で走行し続けた点において、過失があるものというべきである。

(三) 結論

以上認定の諸事情を総合勘案すると、双方の過失割合は被告増田において九割、速見において一割と認めるのが相当である。

そして、前提事実4のとおり、速見は原告の従業員であり、本件事故当時、原告の業務の執行中であったので、被害者側の過失として、原告にも速見と同様の過失相殺がなされるべきものというべきである。

三  争点3関係

1  原告車修理費 一五七万五〇〇〇円

前提事実3(一)のとおり、原告車修理費は一五七万五〇〇〇円である。

そして、前認定のとおり、本件では原告をその損害賠償請求権者と扱うのが相当であるから、原告が右原告車修理費の損害賠償請求権を有する。

2  価格落ち損又は評価損 三〇万円

(一) 価格落ち損又は評価損については、「修理しても外観や機能に欠陥を生じ、又は事故歴により商品価値の下落が見込まれる」場合に認められるところ、具体的には「車種、走行距離、使用年数、損傷の部位、程度、修理の程度、同型車の時価、査定協会の査定等」を総合勘案して、その有無及び額を判断するのが相当であると考える。

(二) 右の見地から原告車に価格落ち損又は評価損が生じたか否か、仮にそれが生じた場合、その額は幾らかを検討する。

(三) 事実認定

前提事実3と、争点1関係で認定した事実と、証拠(甲二、三、一〇及び原告本人)並びに弁論の全趣旨によると、次の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

(1) 原告車はドイツ車のBMWであり、いわゆる高級外車に当たる。

(2) 原告の弟の直樹は、平成一〇年六月頃、原告車を有限会社VIPより代金八五〇万円で一部(三〇〇万円)ローンを利用して購入し、直樹から原告車を買い取った原告は平成一〇年一二月末日頃、原告車を代金四二〇万円で有限会社VIPに売り渡したところ、その売却代金が四二〇万円と安くなったのは本件事故が一因となっているとBMWのディーラーから聞かされた。

(3) 原告車の平成一〇年七月二二日現在の走行距離は二万九一九一キロメートルであり、その使用年数は初年度登録が平成七年九月であるから右時点で三年未満であった。

(4) 原告車の本件事故による損傷の部位、程度、修理の程度等は、次のとおりである。

<1> 損傷の部位

原告車の左前部付近。

<2> 損傷の程度

左ヘッドランプ、左前バンパー、左前フェンダー部等の破損等(なお、フェンダーが曲がっていたので、その修理は専門業者である岡田自動車車体整備に依頼した。)。

<3> 修理の程度

板金と塗装を含む修理を要し、その修理費用は一五七万五〇〇〇円であった。

<4> 中古車市場での時価額

本件事故前は八〇〇万円程度と推測されるが、本件事故後約六か月の時点で原告車は四二〇万円でしか売れなかったが、原告車をオークションにかけた形跡はなく、右四二〇万円が適正価格であるか否かは不明である。

(四) 判断

以上の事実によると、修理済みの原告車の時価が本件事故により低下した側面を有することは否定し難いものというべきところ、以上の諸事情を総合勘案すると、原告車の価格落ち損又は評価損は、その修理費用一五七万五〇〇〇円の二割弱相当額の三〇万円であると認めるのが相当である。

3  代車費用 五七万六〇〇〇円

(一) 前提事実3(二)のとおり、原告車はドイツ車のBMWであり、その代車費用相当額は日額一万六〇〇〇円であること自体は争いがない。

(二) 問題は、代車を必要とする相当な期間はどの位かということであるが、修理に着手するまでの必要期間、通常の修理期間に部品取り寄せの相当期間(原告車はドイツ車のBMWであり、ドイツからの部品取り寄せに一定の日数が掛かるのはやむを得ない。)の合計期間と認めるのが相当である。

(三) 事実認定

証拠(甲三、乙一及び原告本人)並びに弁論の全趣旨によると、次の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

(1) 原告は、日額一万六〇〇〇円の代車であるセルシオを平成一〇年七月一日から同年八月一四日まで四五日間使用し、代車を供給した有限会社VIPに対し、七二万円の代車費用を負担した。

(2) 原告は、当初有限会社VIPで原告車を修理してもらう予定であったが、同社がフレームの修理ができないというので、専門の修理工場(岡田自動車車体整備)に修理先を変更した。

(3) 原告は、岡田自動車車体整備に平成一〇年七月一八日原告車を搬入したが、実際に修理に着手されたのは同月二二日以降であった。なお、右のとおり搬入が遅れたのは、見積もりと部品の取り寄せに時間が掛かったのも一因であった。

(4) 平成一〇年八月一四日頃には原告車は走行できる程度には修理が終わっていたが、残りのエアークリーナーの修理も平成一〇年八月二七日頃には終り、したがって右同日原告車の修理は完了した。

(四) 判断

(1) 以上の事実によると、本件事故日(平成一〇年六月三〇日)から二二日以上後に修理に着手したことが認められるが、原告車がドイツ車のBMWであり、通常の業者には手に負えず、専門業者を探すのに一定の日数が掛かること、ドイツからの部品取り寄せに一定の日数が掛かることは肯認できるので、修理着手の相当期間は本件事故日から一五日間と認めるのが相当である。

よって、修理着手の相当日は平成一〇年七月一五日と認めるのが相当である。

(2) 以上の事実によると、岡田自動車車体整備は原告車の大体の修理に概ね三週間掛かったことが認められる。

右の事実に本件に現れた諸事情を総合勘案すると、原告車の修理相当期間は三週間(二一日間)と認めるのが相当である。

よって、修理完了の相当日は平成一〇年八月四日と認めるのが相当である。

(3) 以上によると、代車費用は、日額一万六〇〇〇円に三六日間(右の一五日間と二一日間の合計)を乗じた五七万六〇〇〇円と認めるのが相当である。

4  小計

右1ないし3の合計は、二四五万一〇〇〇円となる。

5  過失相殺による修正

前認定の割合により、過失相殺をすると、原告の損害は、右二四五万一〇〇〇円に九割を乗じた二二〇万五九〇〇円となる。

6  弁護士費用相当額の加算

原告が原告訴訟代理人弁護士に本件訴訟の提起、遂行を委任したことは当裁判所に明らかであるところ、本件訴訟の難易度、右5の認容額その他本件に現れた一切の諸事情に照らすと、被告らに負担させるべき弁護士費用相当額の損害は二〇万円と認めるのが相当である。

7  まとめ

よって、原告の損害は、右の二二〇万五九〇〇円に右の二〇万円を加えた二四〇万五九〇〇円となる。

四  結論

以上の次第で、原告の反訴請求は、右の二四〇万五九〇〇円及びこれに対する本件事故日である平成一〇年六月三〇日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、いずれも理由があるから、この限度で各認容し、その余の請求はいずれも理由がないから、これを各棄却することとする。

(裁判官 片岡勝行)

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